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第32回全国サケ・マス・魚卵大手荷受荷主取引懇談会

 8月4日、札幌のホテルロイトンで、北海道の荷主と本州を中心とする市場の方たちが集まっての会合がありました。今年のサケの漁獲は多いのか、少ないのか? などなど。専門家の講演を聞かせてもらい、それぞれの意見を交換するというもの。

 この手の会議は正直なところ、形式のようなもので、話し合いによって何かが決まるというものではなく、司会者も大変なご苦労をされているのは、見てわかります。

 意見交換の後、懇親会。さらにホテルから出て、いろんなグループに分かれて、すすきの方面へタクシーが走ります。懇親会やすすきので飲みながらの会話に、いろいろな本音の情報交換があったり。毎回この会合の常連となっている人、初めて会社を代表して参加し、司会者から指名されたくないと思っている表情の方、それぞれです。

 私も十数年前、初参加したときの緊張感を今でも覚えています。時代遅れの会合だ、意味のない集まりだという方も確かにいますが、一堂に市場の方たちがたくさん集まる場所。それをどのように利用するかはつまるところ、参加者の心次第ということでしょう。

保津船

 岩内町の郷土館前に展示され始めた「保津船」。昭和20年代まで岩内沖で使われていたニシン漁の作業船。長さ11m。

 今回、私自身も「ほっつせん」という言葉を始めて知りました。新聞は7月6日に道新後志版で掲載された記事です。郷土館の「岩内港完成100年~海と港の恵み」という企画展にあわせて改修されたものです。

 記事によると、この保津船の修復をしたのが、梶浦造船の梶浦さん(86才)。道内で木造船を建造できる技術者は10人程度とのこと。岩内にいたんですね。最近の船はFRPと呼ばれる強化プラスチック製のものが多く、木造船で作るのはないようです。梶浦さんが元気で仕事をしていたから復元ができた「保津船」。

 私も梶浦さんには、数の子の処理に使うFRPのタンクの修理を何度もやってもらいました。本当は木の仕事のほうが良かったのでしょうね。こんな職人がいる岩内。まだまだ捨てたものではありませんぞ。

マナマコ

 ナマコという言葉を聞くと、何を想像しますか? 岩内の人たちにとって、ナマコというのは、「生助子(なますけこ)」のことを言い、生のスケトウダラの子を意味します。すなわち、たらこの原料です。

 しかし、一般的には、「ナマコ」というと、グロテスクな風貌のとげとげのような突起物がある「ナマコ」のことを言います。正式和名は「マナマコ」。アカナマコ、アオナマコ、クロナマコの3つのタイプに区分され、北海道でよく見られるのは、アオナマコのようです。

 このナマコ、市場の取引価格は、10年ほど前に比べると、10倍の値段に跳ね上がりました。昔は、500円/キロ程度だったのに、今は5,000円/キロ以上、シーズンの最初は6,000円を超えるほどの値段がつきました。

 なぜ?中国経済の急成長のためです。中華料理素材として、北海道産はブランドとなっており、この後志地方のナマコは特に突起が大きいので商品価値が高くなるようです。写真は市場の職員さんが、表面にキズがないかをひとつずつ確認している様子です。これだけ価格が上がれば、やはり商品管理をしっかりしなくてはなりません。

 ナマコの酢の物などは昔はお安く食べることができたのに、もう気安く食べることはできなくなってしまうのかな~。中国経済恐るべし。

ウニ

 『うに』の季節がやってきました。北海道で獲れるウニは、エゾバフンウニとキタムラサキウニの2種類が主です。岩内地方では、ちょうど夏の季節が漁獲期。資源保護のために、地方によってそれぞれ禁漁期があります。

 身の白と赤で区別され、一般的に出回っているのが、白のほうで、キタムラサキウニ。とげが長く、体色が深紫色。それに対して赤い身がエゾバフンウニ。馬糞のような形からこの名がついたのでしょうね。昔はこのエゾバフンウニのほうが多かったのですが、今ではめっきり少なくなってしまいました。その理由は「磯やけ」によるものだと思います。

 まだ漁が始まったばかりなので、セリにかかる数量は少ないですが、これからが楽しみですね。岩内のセリ場には、写真のように、ファミリーレストランのサラダバーのようなショーケースがあり、その中にウニの折が入っています。このケースの中には、海洋深層水が循環しており、それが冷気を運んでケースの中は低温になっています。なかなかいいシステムですね。

 エゾバフンウニは私たちの子供の頃は、『ガンゼ』と呼ぶ人が多かったです。くれぐれも、このウニを一般の人が海で取って食べるのは「密漁」となり、見つかると逮捕されます。見つからなければいいというものでもなく、密漁したものを買ったりしてもダメです。監視船や監視車両が昼夜巡回していますので、ちょっとくらいという邪な心は持たないでください。

 漁師さんたちが苦労して獲ってきたものを、浜の奥さんたちがひと殻ずつ割って取り出したウニを、ありがたく頂きましょう。冷凍ができないだけに、やはりウニは地元で食べるのが一番です。

イカ船出港

 午後3時頃から午後4時頃にかけて、イカ漁の船が岩内港を出港していきます。戻ってくるのは、明け方から朝7時頃までにかけて。その間、明かりを煌煌と照らしイカを釣りあげます。

 

 日本海を夏は北上、冬は南下。スルメイカ。7月7日から9日にかけて、岩内神社祭りがあるのですが、それにあわせて岩内出身のイカ釣り漁船が母港に帰ってきます。水揚げが多いときには、イカのハッポーの箱が、市場の建物からあふれ、外にまで並ぶ量になります。

 イカ釣りでなぜ明るい光を使うのか?ご存知の方もいると思いますが、光にプランクトンが集まり、そのプランクトンを追ってイカが集まります。イカが光に集まるのではないのです。人間社会でも同じようなことがありますね。たとえば・・・・

 先日、イカの刺身を頂きました。美味かった!暑い日だったせいもありますが、ビールにとてもあって、幸せのひと時。

海水温が低い

 ここのところの低温のせいなのか、エルニーニョが影響しているのかわかりませんが、新聞に出るように海水温が低いようです。俗に言う「温暖化」の影響ならば海水温は上昇するだろうと思うでしょうが、いろいろな要因が絡んで低温になっているようです。

 そのせいか、岩内町は今年はすっきりしない霧のような天気が多いです。今朝のテレビでもやっていましたが、北海道の太平洋側の地域では、霧の日が6月に入ってからほとんどのようです。これでは観光にも影響が出るし、農作物にも影響が出ますね。

 魚の世界で見ると、日本海を北上したり南下したりする魚で代表的なのが、イカです。冬の漁場は九州まで南下。夏になると北海道まで北上。6月に入ると函館から始まって、岩内にも例年ですと結構なイカ釣り舟が集まってくるのに、今年はまだまだですね。

 どうしたのかな?海もちょっと人間のわがままに怒っているのかもね。

 さて、この新聞は「日刊みなと新聞」6月16日付の一面です。新聞業界も大変なようですね。新聞記者のみなさん、大変なのはわかりますが、自身の足でしっかり取材してくださいね。

マスのトバ

お待たせしました。ますのトバが出来上がりました。

 5月24日付のブログでも書きましたが、今ではこの日本海で獲れる青ますは希少価値です。しつこいようですが、正式和名は「カラフトマス」。ですが、一般的に有名なオホーツクで獲れるマスと違うのは、索餌(さくじ)の状態にあります。餌を探して一生懸命卵に行く栄養を蓄えているのです。お腹に卵をもつと栄養が卵にいくために親は脂が少なくなります。サケはメスよりオスが美味しいと言われるのはこのためです。

 このトバの原料は脂があり、干しているとべとべとになるほどです。作り方は詳しくは書けません。企業秘密です。でも、手間はかかっています。とにかく地元では圧倒的人気商品でして、昨年は原料がなく、たくさんのお問い合わせにお断りするしかありませんでした。

 売価は一八の店頭で、一尾400円~500円が中心。サイズによって価格が違います。注意点は、保存料を使用していませんので、必ず冷蔵、もしくは冷凍で保管してください。賞味期限が短いので、ご注意ください。

北のお魚大使表彰式

北海道食品産業協議会という組織が、「北のお魚大使」「北のチーズ大使」の認定試験を行っています。このブログの私のニックネームを北のお魚大使とさせていただくのは、他のみなさんに失礼かもしれませんが、ご容赦ください。

去る5月21日に札幌後楽園ホテルにおいて、今年の合格者の称号授与式が行われました。北のお魚大使は今年11人受験し、たった一人しか合格しませんでした。その合格者は、わが町岩内町の役場職員の釜谷さんです。おめでとう!現在、地場産業サポートセンターの技師ですが、昨年私が合格したのに刺激を受け、今年のチャレンジとなりました。受講する前にもらう教科書を何度も読んで勉強したようです。

今現在の北のお魚大使は12人だけです。岩内町はその中に2人もいるのですから、さすが漁港の町(ちょっと言い過ぎ)。来年もこの北のお魚大使に岩内町からチャレンジする人がいます。もしも合格したら、どんなことができるでしょう。

称号をいただいたのは、私自身のためでもありますが、お魚の知識をたくさんの人に伝えたい気持ちが強いです。子供に地元で獲れたお魚を食べてもらう、地元で加工されたものを食べてもらう。ごく当たり前のことができなくなっている現在、微力ながらも「北のお魚大使」は何かできるのでは?一人よりも、二人。二人よりも三人で行動すればなんとかなるのでは。

写真は今回の称号授与式に参加された、北のお魚大使と今年の北のチーズ大使の合格者。講義を受け持った、それぞれの先生。今年の「北のお魚大使」の釜谷さんはなぜか不在。かわいそうに。事務局からの連絡が遅くて、当日変更できない予定を入れてしまっていたようです。がっかりしてましたよ。

がっかりしているということは、それなりの努力をしたからです。一生懸命勉強したから、合格したらうれしいですね。ちょっとしか勉強しなかったなら、そんなもんか程度の感覚です。「受験」ということから遠ざかったこの年齢になっての合格は確かにうれしいものです。

さて、北のお魚大使。できることから始めましょう。私はこのブログで少しでも北海道のお魚に興味を持ってもらえるような書き方をしましょう。じゃ、なんでマラソンの話が出るのさ? 魚だって、マグロ筋、ヒラメ筋ってあるでしょ。 強引なこじつけに今後もお付き合いを。

マスのトバ

弊社の季節限定商品に『マスのトバ』というものがあります。

青ますを尾の部分でつなぎ合わせ3枚卸にしたものを、調味に漬込み、干した乾製品です。前回もお伝えしたように、青ますの漁獲そのものが少ないために、加工原料にはほとんどなりません。でも、ほんの少しだけ、熱烈なユーザーのために作ります。

写真は、5月18日に載せた写真の青ますで作った「マスのトバ」です。たった38袋しかできなかったのですが、店頭に出す前に女工さんに販売したら、その場ですべて完売。ありがとうございました。次は?まだあるんでしょ?との問いに、海に聞いてくれぇ~としか言えません。でも、やっぱりこんなに人気があるのなら、原料確保は何とかしようと思ってしまいます。

さて、このマスのトバは別名「アダッチ」または「アダチ」という呼び名をする人がいます。言っている人に、「どんな字?」と聞いてもわからないそうです。アイヌ語かな~? どなたかわかる人がいらしたらこの北のお魚大使に教えてください。

ところで、サケ、マスは赤身魚ではなく、白身魚だと言うことは、魚好きのみなさんなら知っていますよね。アスタキサンチンというカロチノイド色素で赤色に見えるのです。ではなんでその色素を持つのか?餌となるエビのちっちゃくしたような、オキアミを食べるから。じゃなんでオキアミはその色素をもっているのか?・・・勘弁してください。 小学生にわかるように説明できる方、教えてください。

日本海青マス

この写真は、先週連休明けに市場から買ってきた青マスです。定置網でとれたものです。

ここ岩内では、マスを大きく2種類に分類し、本マス、青マスと言っています。本マスの標準和名はサクラマス。青マスの標準和名はカラフトマス。昔から、岩内沖では、この青マスの漁が盛んで、網ではなく、はえ縄の一本釣りでとっていました。5月ものよりも6月もののほうが脂がのっていて、「サケよりやっぱりマスだべ」という、マス好きの方がたくさんいらっしゃいます。

20年ほど前までは、岩内でマスの釣り船もあったのですが、全船撤退。檜山地方の船があったものの、平成5年、南西沖地震によって奥尻を中心に漁港が大きな被害を受けたのを境に、檜山地方のマス釣り舟がなくなってしまいました。

スケソウダラでも同じなのですが、網で獲るのとはえ縄で獲るのでは、コストがまったく違います。手の込んだ仕掛けをはえ縄漁ではしなくてはなりません。でも、生きたまま釣り上げるので鮮度は抜群です。

価格破壊だの、効率主義だのと言っている間に、次代の流れに逆らえず、マスのはえ縄漁は消えてしまいました。

一八では7.5kの木箱に一日で千数百箱を塩を切って作ったこともありました。今ではそんな風景を覚えている人は少なくなってしまいました。

岩内の青マス。うめぇど~。