カテゴリー別アーカイブ: お魚のこと

たら丸3兄弟

 雪が融けて北海道では、観光としてのイベントがあちこちで行われるようになってきました。岩内でも5月3日には、ギンザ通り商店街の「手づくり市」が行われました。

 そこでイベントを盛り上げるために登場するのが、マスコットキャラクターです。岩内には、たら丸、べに子、ピン助というキャラクターがいます。ゆるキャラファンの皆様には、いまさら紹介するまでもないでしょうが、たら丸、べに子は夫婦ではなく、双子の兄妹。そして年が少し離れた弟のピン助。

 写真をご覧になるとお分かりでしょう、黒のほうがたら丸で手にはグリーンアスパラを持っています。ピンクがべに子で、手にはホワイトアスパラを持っています。ピン助はかぶりものだけです。なぜその名前でアスパラなのかは、違うところでお調べください。

 裏情報をこっそり教えましょう。今年の春、3兄弟のマネージャーが変わりました。彼らのスケジュールや接客の教育係が変わったので、昨年までのちよっとずる賢いイメージがどのように変化するのか、私は傍観しながら楽しんでいます。

 近くで彼らを見ると、あちこちとキズやスレが目立ちます。魚としてセリにかかったら、キズ一つで値が下がってしまうのですが・・・

キアンコウ

 北のお魚大使の教科書には、北海道で漁獲される魚のことが詳しく書かれています。私もこの教科書でいろいろなことを学びました。ただ、やはり本物を見て、市場に出入りしている人たちの声を聞いて、知識と現物を照らし合わせることも大切だと思います。

 先日、市場に行きアンコウを発見。ところが、岩内で漁獲されるアンコウの正式和名はキアンコウなんです。でも、正式和名のアンコウも存在します。一般的に北海道で漁獲が多いのは、キアンコウなんですね。

 数年前までは、アンコウといえば、茨城産が多いと思っていました。昔、北海道ではあまり重宝した食べ物ではなかったからでしょうか。最近でこそ、そのおいしさがわかってきて、アンコウ鍋用に全部おろした切り身がひとつのパックで売られているのも見かけます。

 もうご存じの方には言うまでもないでしょうが、アンコウの七つ道具と言えば、きも(肝臓)、えら、とも(ひれ)、皮、ぬの(卵巣)、水袋(胃袋)、柳肉(身肉、ほほ肉)です。特に、「あんきも」と呼ばれる肝が味の決め手になることは有名です。

 夏に獲れるものと冬のもののおいしさはほとんど変わらないという研究結果が出ています。でも、やっぱり寒い時期の鍋として食べるから、冬のほうがおいしく感じるのでしょうかね。それにしてもこのドスのきいた顔、なんか皮肉でも言いそうで・・・私はしばし耳を傾けていました。

ハッカクは八角形?

 ハッカクというお魚をご存じですか?正式和名は、“トクビレ”。漢字で書くと、“特鰭”。雄は背びれと尻びれがうちわのように大きくなることから、そう呼ばれています。こちらの地方では、ハッカクという呼び名が主流で、魚体の横断面が八角形をしているからだと思います。

 お刺身が美味しいんです。透き通った白い色をしていて、お醤油に身をつけると、お醤油皿に脂が残り、脂がたっぷりあることがわかります。でも、生で食べる時は、アニサキスという虫にお気を付けください。

 小樽の居酒屋などでは、塩焼きでメニューに載っているのを何度か見たことがありますが、どちらが主流かはわかりませんので、お召し上がりになりたい方は、飲食店にお問い合わせください。

 このハッカクの顔と姿は、タツノオトシゴを横にしたように見えませんか?触ると、ゴツゴツでトゲトゲしていますが、よく見ると、なんとも愛嬌がある顔をしています。漁獲量が少ないために、ちょっと割高なお値段ですが、おススメのお魚です。

オメガ3がタラ、スケソウタラにも

 先月の水産業界誌「みなと新聞」に、ノルウェーの科学者がニシンやサバなどに多く含まれていると知られているオメガ3が、タラやスケトウダラにも多く含まれている事を実証したと掲載されていました。

 オメガ3ってなに?理系の説明はネットで御調べください。文系的な解釈では、頭がよくなる成分のDHA、血液さらさらにするEPAを含む総称のことと思ってください。とにかく、人間の体にいい成分だと。

 最近は、消費を伸ばすために、いろいろな食べ物がどんなことに効果があると言った研究発表がありますね。最近ではトマトがメタボに・・と出るやトマトジュースがなくなってしまうし。以前はバナナダイエットでバナナがなくなった事もありましたね。

 まぁ、私たちも身欠にしんはDHAとEPAがとっても多いのですと言っている割には、ニシンがなくなる事はありませんが・・・。食べ物がこんなことで一時的にブームになったりすることがおかしいですよね。いろんなものをまんべんなく食べるのが、一番の健康だと思うのですが、いかがでしょう?

ようやくニシンの群来

 先日の北海道新聞には、小樽の海岸に群来(くき)が見られたと書かれていました。群来とは?ニシンが産卵のために群れをなして海岸にやって来る事を言います。その時、白子を一斉に放出するために、海が真っ白になります。

 昨年は2月の上旬に群来のニュースが流れましたが、今年は2月の下旬なので、ずいぶんと遅れているようです。秋から冬にかけては水温が高いままだと報じられ、冬から春にかけては水温が低いままと報じられるここ数年です。これって、自然現象が遅れているのではなく、暦がずれているのでは?と冗談にも考えてしまいますが、さにあらず。

 数年前、留萌にある水産加工業の同業者のお話です。突然漁師さんが「おめんとこで(お前のところで)、何流してんだ!」と怒鳴りこんで来たとのこと。外を見ると、海が真っ白。あっけにとられてよく見ると、ニシンの群来だったと。その漁師さんも初めて見る群来の姿だったと。

 昔はもっとすごかったのでしょうね。最近は、トドやアザラシといった海獣がニシンを追って群れをなして来ているようです。網を引きちぎり、その被害も年々ひどくなっているとのこと。資源のバランスが崩れているのでしょうね。

マダラのお話

 岩内のマスコットキャラクターのたら丸くんは、マダラではなく、スケトウダラから生まれたものです。マダラとスケトウダラの違いは、魚好きの方ならお分かりでしょうが、マダラは大きく丸こっいのに対し、スケトウダラは細長くなっていますね。

 写真はマダラで、あごに1本のヒゲがあるのが特徴です。そのヒゲは触ひげと言って、感覚器官の一種でヒゲに触ったものは何でも食べてしまうんですって。

 また、たらにまつわる言葉はいろいろありまして、「タラふく食べた」「あほんダラ」「ぐうタラ」なんて言葉は、マダラから来ているとされています。詳しい由来は、ご自身でお調べください。

 魚へんに雪と書いて鱈(たら)です。雪の季節の今が旬ですね。寒い時には、たらちり鍋がいいですね。マダラの代わりにスケトウダラでもいいですね。鍋をつつきながら、ぐうたらな生き方について語り、アホンダラぁ~なんて言いながら、鍋をたらふく食べて、楽しい食卓にしてみてください。

ニシンという呼び名

 ニシンの呼びかだについては、いろいろなところで記載されていると思います。ここでは、北海道水産物加工協同組合連合会が、発行した「銀鱗の記憶」と称するニシンについてまとめられた文献をもとに、書かせていただきます。

 名前の由来は諸説あり、次にご紹介します。

  1. 身を二つに裂いて身欠ニシンを作るから。
  2. 沢山とれるから“魚にあらず”鯡とも書く。浜では、鰊ではなく、鯡とする人が多い。
  3. 季節感の強い、大漁に獲れる魚故に“春告魚”と書く。

 身欠という言葉は、私もこの水産業界に入った時の、最初の疑問でした。よく先輩たちは、「身を削ってまで作って商売するからだ」などと冗談半分で言っていたものです。もっとも、今は半分冗談ではなく、本当になりつつあります。

 昔たくさんニシンが獲れていた時は、肥料にしていたのも、かなりの数量でした。「鯡」と書くのは、食べるだけでないという表現からなのでしょうか?北前船での交易によって、身欠にしんが、京都から反物となって帰ってきたからなのでしょうか?

 いずれにしても、こんな事を考えると、どうですか、皆さん。弊社の身欠にしんが食べたくなりましたね。ご注文をお待ちしております。

日本海産のニシン

 今日は、道総研中央水産試験場の山口幹人さんという方のコラムをもとに、日本海産のニシンについて書きます。

 ニシンは春告魚とも呼ばれるように、春になるとやってくる魚でした。しかし、石狩湾系のニシンについては、1月から漁が始まり、2月3月をピークに、春にはいなくなってしまうようです。すなわち、「春去魚」なのです。

 昔、日本海をにぎわしたニシンは、北海道サハリン系群と呼ばれ、現在の石狩湾系群とは違うグループになります。要するに、遺伝子が違うのですね。サハリン系は回遊範囲が広く、石狩湾系は回遊範囲が狭いとされています。狭い分だけ、資源管理がしやすいという利点があります。

 資源管理の具体策として、①稚魚を放流する ②網の目を大きくして、小さなニシンをとらない ③漁を早めに打ち切る といった事をしているとのこと。

 獲れるだけ獲ってしまえという考えは、過去の教訓からしないほうがいいと漁師さんたちも理解してくれたと思います。このような管理は日本は遅れていると私は以前から感じていました。

 よーいドン!の漁獲ではなく、科学者と一緒になって、のちのち自らが利益が出るために、どのような漁獲の方法がいいのかを決めることができるようになった事は、とてもいいことだと思います。ニシンで実績を作り、いろんな魚種での管理が進み、結果として安定した漁獲が出来ることを願います。

水産加工屋さんの専門用語

 どの職業においても、その業界の人でなければ分からないという専門用語が存在します。御自身では、一般的に使われている言葉と思っていても、実は専門用語だったなんて事は経験ありませんか?

 水産加工においては、いろいろありますが、代表的な言葉は、「ガラ」という言葉でしょう。魚の内臓、卵を取り除いた親の身だけの事を言います。内臓が入っている、そのままの状態を「マル」と呼びます。【写真はニシンです。上がマル、下がガラ】

 語源はたぶんあると思いますが、どなたか正確にご説明できる方がいらっしゃったら、教えてください。鳥ガラ、豚ガラと言う言葉がありますが、鳥、豚の骨の事を云うので、魚とはちょっと違いますね。人柄が悪いという表現がありますが、むしろそちらに近い気がします。

 スケソに至っては、ムトという呼び方もあります。これは漢字で「無頭(むとう)」と書きます。漢字で書かれれば、わかりますね。頭をカットしてある状態を言います。

 さて、皆さまの業界では、どんな面白い専門用語があるでしょう?

東北のお魚のカレンダー

 毎年、取引している全国の卸売市場からカレンダーが届けられますが、その中で表紙に東北で獲れる魚介類が並べられているものがありました。

 各月では、それらの拡大図が描かれています。写真ではなく絵ですが、本物そっくりの描写です。一応、すべて絵と名前は一致しました。「北のお魚大使」の勉強で理解したもの。岩内町の市場で覚えたものなどです。

 東北の魚なので、北海道とは違った魚が並ぶのかと思いしや、ほとんどが北海道で獲れるものと同じでした。でも、年々海水温が上昇している事を考えると、20年後くらいには、南の魚がこれに取って代わるなんてことになるかもね。

 マダラ、マガキ、マダイなど、マなんとかという名前が多いのは、魚の名前の特徴ですね。北海道特有のものには、エゾなんとかという名前がありますが、マなんとかというのは、本流の種と考えるほうがいいのでしょうか。人間に例えると、あなたはニホンジン?ホッカイドウジン?イワナイジン?