カテゴリー別アーカイブ: お魚のこと

秋サケのシーズンに入ります

 岩内の市場に秋サケが少しずつ増えてきました。本格的な漁になると、1トンもの大きなタンクに氷水を張り、オスとメスに選別し、それらをまとめて入札にかけます。

 昔、秋味という名前のビールがありましたが、地元では、サケのことを「アキアジ」と呼びます。秋に獲れるアジではないですよ、秋の味だからでしょう。この呼び名はなんとも季節感を漂わせて、いいですね。

 最近のサケはほとんどが放流事業によって戻ってきているサケですね。放流した数の5%も戻ってくればいい方で、いろいろな大海の困難や障害を乗り越えて帰って来たのです。

 そんな生命力に感謝して、サケを召し上がりましょう。弊社はこのサケを利用して、サケトバを作っています。よくある棒状ではなく、一口サイズにカットしてあり、皮もむいてあるので、美味しくて食べやすくていいねと評判です。

 岩内に来られましたら、岩内道の駅でご購入願います。道の駅だけでの限定商品となっています。間違いなく、岩内産のサケを使い、岩内にある弊社工場で作ったサケトバです。

みなと新聞の北米地図

 水産業界の専門新聞、「みなと新聞」にはたまに付録がついてきます。その時々の魚をテーマに、グラフや地図が載っていて、保存版になっています。

 写真の地図は、アラスカ周辺の地図です。弊社とは何が関係あるのか?ですね。弊社で扱っているニシンの多くは、アラスカから輸入されたものです。北米のニシン漁は、サンフランシスコ沖合から始まり、カナダを北上していきます。北上と言っても、同じニシンが北上するのではなく、それぞれの地区のニシンの漁獲時期が北上するということです。

 北海道の水産加工屋さんが主に手掛けるニシンは、ブリストル湾で獲れたものが中心となり、毎年5月の連休前後の漁がどうであるか、インターネット経由で情報をつかむなどしています。アラスカのブリストル、コディアック、シトカなどという言葉は、私たちは日常茶飯事で使っています。

 今回のこの北米地図の付録は、漁業の点から見た重要な地名を網羅してくれているので、助かります。一般の地図ですと、観光地などの地名しか掲載されていませんからね。人が住んでいなくとも、立派な魚場となっている地名がしっかりと書かれてあります。興味のある方は、みなと新聞までどうぞ。

 余談ですが、雑誌の付録って、子供の頃はとっても楽しみでしたよね。 

魚の鮮度は目でわかる

 岩内の市場では今、ホッケが揚がっています。お腹に卵を持つ前の一番脂がのっている美味しい時期です。

 サイズによって、ハッポーの入れ物に、8尾、10尾、12尾、15尾、18尾入と分けられ、それぞれ入り数が少ないものほど、一尾あたりが大きなサイズになります。

 さて、子供たちからよく質問を受けるのですが、魚の鮮度はどのように見分けられますか?と。魚の種類によっていろいろな見方がありますが、共通して言えるのは、目が黒々として澄んだ色をしていることでしょう。

 人間も一緒ですよね。何かに向かって一生懸命やっている人の目は澄んで輝いています。純粋な心を持つ子供たちの目も生き生きとして綺麗ですね。我々大人であっても、自らの力で「旬」でありたいものです。

スルメイカ漁が始まっています

 岩内沖でようやく漁火が見ることができるようになりました。例年に比べると遅いですね。この漁火がないと、やはり夏の気配は感じられないものです。

 写真はハッポーに入っているスルメイカです。イカの大きさによって、30尾、25尾、20尾入れと分かれます。下氷状態で、綺麗に並べられているのですが、この並びが悪いと、鮮度低下も早くなるので、セリの値段がそれぞれの船の作りによって差が出ます。

 1パレットに50箱積んであり、船単位、サイズ単位によってセリが行われます。写真のように、まだ船数が少ないため上場されるイカは少なく、、あっと言う間にセリは終わってしまいます。これが岩内祭りの近くになって、地元の船が戻ってくる頃は市場からこのハッポーがあふれ出るほどの量になります。

 鮮度のいい、透き通ったイカの刺身、ほらほら食べたくなってきたでしょ。岩内に来て、お寿司屋さんでどうぞ。でも、お土産は一八の商品を買ってね。

すぐそばの小女子(こうなご)漁

 岩内のお隣、寿都町では「生炊きしらす佃煮」という商品が有名です。その原料となる小女子(こうなご)は、寿都町の前浜のみならず、岩内や近隣の各方面で漁獲されたものを使っています。

 残念ながら、岩内の前浜で漁獲されたものは、寿都の市場へ運ばれてしまいます。岩内の加工業者は昔、こうなごを煮て干して商売をしていた時代もあったようです。弊社もそのうちの一社です。しかし、漁が減ったことと、違う魚種での加工で手いっぱいだった事などから、岩内の加工業者はこうなごから手を引いてしまいました。

 ところが、今年はそれなりに漁があるようです。写真は岩内の敷島内地区にある同業者の友人が工場の目の前で漁をしている船を撮ったものです。目と鼻の先、船上で話をしている声まで聞こえる近い場所で漁をしていたとのこと。

 彼もこのような近くでの漁を見たことがないと言っています。ふと思ったのですが、この近くには大きなパチンコ屋さんがあります。煌々と光を放っているので、こうなごが集まったのではないか?と勝手な想像をしてしまいます。どなたか、お分かりでしたら教えてください。

ソウハチ

 魚のカレイ類は、たくさんありすぎて、最初は市場で覚えるのが大変でした。今でもたまにしか見かけないカレイについては、わからないものもあります。

 でも、「北のお魚大使」としては、少しでも皆さんに正しい魚の知識を伝えなければいけないという使命がありますので、書かせていただきます。

 ソウハチはカレイの中で最も漁獲量の多い種とされ、1950年代までは肥料やミンクの餌に用いられていたものもあったようです。でも、今は漁獲が少なくなり、北海道では焼き魚の定番メニューとなっています。

 正式和名は「ソウハチ」。ソウハチガレイと呼ぶ人もいますが、それは地域での呼び名です。試験のひっかけ問題です。

 特徴としては、褐色側の背中の真ん中にある側線がはっきりしていることと、口が大きく、口先がとんがっています。内臓と同じくらいの小魚も丸ごと飲み込むほどの食欲があるようです。

 卵を抱いているソウハチは、焼いても卵だけは半生状態なので、私は卵(岩内弁でコッコ)だけはもう一度火を通して食べます。深層水で処理すると、臭みが消えて美味しくなりますよ。

ニシンの稚魚放流

 西積丹に位置する町村の漁協による要望で、道によるニシンの稚魚の放流がなされたという新聞記事がありました。5月17日の北海道新聞後志版に掲載されています。

 石狩湾の小樽、厚田などは、順調にニシンの回帰現象が見られ、近年も北海道産ニシンとしてスーパーなどで鮮魚で並ぶのが定着してきました。

 しかし、積丹半島を超えた西側には、一部の漁獲が報告があるものの、放流されたニシンが戻ってきているということではないようです。過去3年間、毎年30万尾を放流していたのですが、今後40万尾をもう3年間行うとのことです。

 放流事業のみならず、ニシンが回帰しやすい環境も同時に考えてほしいなと思います。そして、食べてもらう工夫を私たち加工業者や飲食店さんたちもいろいろ考えましょう。

魚の背中と腹の色が違う理由

 ニシンやサンマなどを見てください。おなかの色と背中の色が違いますよね。なんでこうなってしまったのか、おわかりでしょうか?

 一言でいえば、保護色です。背中が青色系なのは、海の上から見るカモメなどから海の色に同化して見えにくくするためです。またお腹の色が銀色なのは、大型魚や海獣などが海中から見上げると、太陽のようにキラキラと輝いて見えるようにしているのです。

 ニシンはたくさんの群れをなして生きている魚です。大きなクジラがでっかい口をあけてパクリとやるとそれだけで1トンもの鰊が消えてしまいます。1尾平均300gと考えて3,300尾。

 そんなことを考えながら、今晩のおかずは一八の身欠にしんに決まりですね。お子様にはそんなうんちくを教えながら、皮まで召し上がってください。

マスの筋子

 青マス(カラフトマス)や本マス(サクラマス)の小型魚の筋子はご覧のように、粒も小さく、サケの筋子に比べると、見劣りしますね。

 ただし、この岩内ではマス子はプレミアムがつくほどの人気です。この小さなくちゅくちゅした感じがいいのです。一昔前、弊社でマスをそれなりに扱っていた時、この筋子を求めて休日に私の自宅まで押しかけて来た人がいました。

 マスのトバでもお話したように、漁師さんたちが、昔船でマスのお腹から内臓、筋子を取り出し、筋子は船員さんたちの現物支給のお手当みたいなものでした。陸に上がって、おすそわけしていたマス子。その味が忘れられないと、高齢者は言います。

 でも、残念ながら、今は売るだけの筋子はございません。ごめんなさい。岩内とマスはスケトウダラと並んで、大きくかかわって食文化がそこにはあったということですね。

ホソメコンブ

 北海道には利尻昆布、マコンブなどの有名なコンブがたくさんあります。昆布好きの方なら、延々とお話できるほど、コンブにまつわるお話は尽きないと思います。

 今回は、日本海沿岸を主産地とするホソメコンブについて少々。アワビやウニの餌料として重要な海藻ですが、他の地域のコンブに比べると、商品価値としては低い位置にあります。

 近年の日本海沿岸の磯焼けは、キタムラサキウニがホソメコンブを食べつくしてしまうことも要因の一つとされています。冬場の海水温が上昇していることにより、コンブが欲しがる栄養塩が少なくなる。ウニは低温では食欲がなくなるのに、高いので食欲旺盛。というサイクルに陥っているようです。

 栄養塩を増やす、低温にするということでは、岩内で行っている海洋深層水事業はミネラル豊富で低温であるということから、養殖の条件が合うとのことです。先日の研究会では、こんな発表がありました。

 さて問題です。北海道の日本海で主に生息しているホソメコンブの寿命は何年でしょう?ちなみに、マコンブやリシリコンブの寿命は2年です。答えはネットで探してね。すぐ出てきますよ。