10年ほど前、野生の熊と出会いました。そのときのお話を。
とまりマラソンは当時10kmのコースを、原発の裏山を登らせて、登りきったところにあるゲートから原発敷地内に入り、一気に急降下するというコースでした。普段はそのゲートは閉鎖されているので、練習でコースを使えるのは、そのゲートまでです。
大会の1ヶ月ほど前、その急な山道の上りを練習するために、一人でえっちらこっちらと夕方6時過ぎに走って登っていました。コースは、車が一台通れるほどの幅。途中にスイカ畑があります。右に左にとジクザグに上ってふとカーブを曲がりきったとき、なんともイヤな感じ。10mほど前の笹薮から上半身を出して立っている顔がやたらでかい黒い姿。 クマだ!
最初見たとき、あっ、動物園のクマと一緒だ。と思いました。次の瞬間、金縛り。そのクマは私を見ると、両手を上に上げ、鼻を上にしてグワォー!と叫びました。ヤバイ!と思っても体は動かず。しかし、上に振り上げた両腕は笹薮の中におろし、私の視界から消えました。
ほっとして、また走る続きを・・と2歩進んで考えました。折り返してここに戻ってきたとき襲われるかも知れない。そう思ってすぐに回れ右!一目散に下りました。ジグザクになっている道、左から突然出てきたらどうしようと左耳をダンボ状態にして、おそ松君の漫画のように、足が見えなくなるくらい速い回転で降りてきました。
近くにある北電体育館に駆け込み、「クマ、クマが出ました!」と管理人さんに言うと、「そうか、どうする?」と。「警察に電話したほうがいいのでは?」「じゃ電話しな」。
警察に電話して、そのことを話すと、「あなたのお名前は?、あなたの住所は?あなたの電話番号は?・・・・」20分ほどして来た警察官にまたしても、「あなたのお名前は?、あなたの住所は?あなたの電話番号は?・・・・」。話をして、本部に連絡。「どうやら本当のようです」と。失礼しちゃう。でも、タヌキをクマと見間違える誤報が多いとのこと。
後日、鉄砲を持ったおじさんと警察官の3人で現場検証。笹の倒れ方、小枝の折れ方などから、私の証言は正しいとのこと。体長2mくらいのクマであることが判明しました。
もしも、私に向かってきたら私はどうなっていたのでしょう?夕方は小動物が積極的に動き回る時間帯。クマも同じなので、ここはもう走らないで下さいと念を押されました。今はどうなっているのかと先日、行ってみると、写真のように入り口に進入禁止のロープが張られていました。治安の問題から原発の裏側からの侵入阻止も理由にあると思います。でも、ちゃんとそのクマが守ってくれているサ。