サケが生まれた川に戻ってくるお話は、みなさんよくご存知でしょう。川は淡水、海は海水なので、遡上する前に徐々に淡水に体を慣らしていかなければなりません。
ですから、河川の入り口付近で、遡上せずにサケがのんびりしているように見えるのは、淡水にならそうとしているのですね。登山で言えば、高度順化するのに、ペースキャンプでしばらく体を慣らすのと一緒です。
同時に、子孫を残すためのオスメスの体つきがどんどん変化していきます。写真でもおわかりのように、体色も下から銀毛だったものから、黄褐色へと変化していきます。婚姻色とも呼ばれています。人間の視点で言えば、ブナ化すると言います。ブナ化が進めば、それだけ美味しくなくなります。
産卵のためにほとんど餌も食べずに、遡上するために、今まで蓄えていた栄養をどんどん使ってしまうからです。そんな生命力は凄いですね。今年の漁はあまり多くはないですが、サケの切り身を召し上がる時、ちょっとそんな生命力を感じながら、お召し上がりください。