4時間の壁を破ったS氏

 本格的にマラソンを始めて3年目のS氏。最初、ハーフの大会に出ると、どんどん記録が伸びて行きました。数字で表れて、走る事が楽しくなって、さらに練習を積んでいく。

 フルマラソンなんて無理無理と言っていたのに、気が付いたら、平成23年の北海道マラソンに思い切って申し込んでしまいました。前哨戦として、平成23年6月の千歳に参加。ところが初フルは途中失速、歩いてしまうという残念な結果(こちらをご参考ください)。注目の本番、平成23年北海道マラソンは暑さの中で、これまた失速で意識もうろう。

 記録は4時間42分。ハーフで1時間40分を切る力を持っているので、フルは4時間を切るのは理屈上は容易な事のように思います。月間の練習量も200キロ以上、さらに冬の間もずっと走り続けていたのに、なぜ?若い人に陥りがちな、速く走る事ばかりでフルマラソンの42キロを走りきる対策をしなかったから。

 トレーニングもしっかりして、自信がついた人ほど、陥りがちな走り方。行けるところまでペースを上げて行く。でも、結果として失速を招いてしまいます。

 平成24年、千歳のフルマラソン。S氏はスタート位置もわざと後方にして、速い人たちのペースに巻き込まれないようにしました。そして、自分では不本意なペースを落として走る作戦。

 ところが後半になっても失速せず、どんどん失速する人たちを追い越していくばかり。40キロを過ぎて、4時間を切る事を確信したS氏は走りながら涙が汗と混じって顔から流れ落ちていました。

 ほんの少し前半のペースを落とすだけの事で、こんなに違う。追い越す事がなんて嬉しいんだ、ふらふらではなく、喜びいっぱいのゴール。仲間の祝福。おいしいビール。

 フルマラソンはレース展開、ペース配分で記録が変わります。人の体はそれぞれの違いがあり、その時の気温やコンディションによっての違いでも、結果が変わります。「経験」は最大の武器だと私は思います。がんばれS氏!

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